アクタージュ:第46話「回想」
※2018年12月17日発売週刊少年ジャンプ掲載
この記事にはネタバレが含まれておりますのでご注意ください
幕間で集中する阿良也は、巌のことを考えていた。
自分と同じ主演に選ばれた景。そして、アキラの存在。最初は巌が二人を選んだことに納得がいかなかったが、舞台に立ち、一緒に演じて確信した。
「知らなかった…他人の成長がこんなに嬉しいなんて」
立ち上がり、笑いながら呟く阿良也。
進化する芝居こそ演劇だ
巌の言葉を痛感する。
(ありがとう…巌さん)
「俺ももっと進化できる。もっと…。今日、証明してやる、自分に」
「巌裕次郎の一番は…俺だ」
天を仰ぎ高らかに宣言する阿良也の姿を見つめるアキラ。
そして、阿良也と景ーーー。巌裕次郎に見出された演劇界の怪物と、巌裕次郎の意思を託された新人の最終幕…二人の芝居を観客として観てみたいと思うのだった。
客席では、阿良也の演じるジョバンニに感情移入したルイが泣きじゃくっていた。
子どもが感情移入しやすいのは、カムパネルラよりもジョバンニの方。物語の性質上、それが「当り前」のように思えるが、決して「当り前」なことではなかった。
阿良也が「純粋な少年」を完璧に演じているからこそ、同じく純粋な子どもの心を揺さぶることができるのだった。
阿良也のジョバンニは、少年役を「上手く」演じているのではなく、まさに「少年そのもの」。
しかし、幕間が終わり、舞台に現れた阿良也は…まるで別人だった。
『母さん、今帰ったよ。具合はどう?』
それは、ジョバンニの家での回想シーン。本来なら物語の序盤に登場する病気の母との会話を、ここにきて一人芝居で演じる阿良也。
時間の流れによって変化する感情を、時系列で完璧にコントロールしている。見事だ、とアリサは感心する。
ジョバンニの回想が終わり暗転。再び照明がつくと、そこは銀河鉄道の車内だった。
回想時のうつろな表情とは違い、幸せそうなジョバンニ。
『ねえ、カムパネルラ』
「なに、ジョバンニ」
『僕たちまた二人きりになったねぇ』
「うん、そうだねぇ」
『ねえ、カムパネルラ』
『僕たちずっと、一緒にいようねぇ』
『…カムパネルラ?』
いよいよ、最終幕(クライマックス)が…始まる。
コメント